クローン病や潰瘍性大腸炎の基礎的な医療情報です。


潰瘍性大腸炎の薬物療法の基本*2
軽・中等症ではどうか?
 軽・中等症では、サラゾピリンやペンタサが第一選択薬となります。
ペンタサの場合、750-2,250mg(3-9錠)の投与量です。ペンタサの場合、保険適用になっているのが9錠/日迄となっていることによる。直腸炎型や左大腸型(S状結腸、下行結腸に病変があるタイプ)では、注腸療法が行われるます。注腸療法に用いられる薬剤はステロネマもしくは、プレドネマなどのステロイド系のものとペンタサ系のペンタサ注腸があります。ペンタサの潰瘍性大腸炎に於ける欧米の報告では4gが有効であり、用量増加の要望を保険適用申請中である。(用量増量の臨床試験終了)
ペンタサ経口投与とペンタサ注腸を併用する場合には、臨床的には経口4.0gと注腸1.0gの併用が望ましい。
2週間の治療により改善が認められた場合治療を継続し緩解期に入れば、ステロネマを中止しサラゾピリン{2,000mg(4錠)/日}あるいは、ペンタサ{1,500mg(6錠)/日}に切り替え緩解維持療法を行います。
改善傾向がなかったり悪化したり場合にはプレドニンを30-40mg(6-8錠)/日の経口投与に変更します。

重症例ではどのような投薬になるか?
 重症例では、上述の全身状態管理下の上にサラゾピリンもしくはペンタサにプレドニンを経口または静脈注射をします。
高カロリー輸液(IVH)をしながら水溶性プレドニンを1日に1-1.5mg/kg重を分注する強力静注療法の有効性も報告されています。上・下腸間膜動脈からステロイドを直接投与する方法で25%は改善すると言われています。*4
もしくはACTH(コルチコトロンビン)を1日に2回に分けて、40単位を筋肉注射により投与する場合もあります。*12

ステロイドパルス療法
 ステロイドパルス療法は超大量のステロイド(500-1,000mg/日)を3日間点滴し、その後4日間休薬期間を設け、計1週間を1クールとし3-6クールを繰り返します。 このステロイドパルス療法の利点は早期に効果判定が行え、ステロイドを徐々に減らす必要ないことです。しかし、パルス療法が無効な場合は、外科手術に踏み切る必要がありますが、累積ステロイド量を考える必要があります。累積ステロイド量が多いと術後感染の可能性が高くなり、ステロイドを減らす調整期間が必要なため手術待機となるか、完全に離脱するのに期間を要するため、ステロイドを少量静脈投与を続けて、術後に時間をかけて離脱するケースがあります。近年はDPC方式*((診断群分類)の関係で入院期間が限られているためです。ステロイドの離脱を待って手術をすれば、病院は赤字になってしまうからというからくりなのです。

*医療費は「出来高払い方式」という仕組みで計算されています。これは検査、注射、薬、手術など、ひとつひとつの医療行為ごとに料金を設定し、その合計金額を支払うという方法です。2003年より大学病院等の大病院から試験的に施行し全国へ広まっております。DPCについてはDPCマネージメント研究会などが参考になります。

免疫抑制剤はステロイド離脱例に使われる
 ステロイド離脱困難例、ステロイド量を徐々に減らすことにより再燃する症例に使用されます。ステロイドを投与してはいけない例には免疫抑制剤のアザチオプリン#50-100mg/日や代謝拮抗剤6-MP#を30-50mg/日を投与されるようです。 副作用として骨髄抑制、膵炎、肝障害、感染に弱いなどのかなりのリスクを覚悟しなければなりません。現在、これら免疫抑制剤は保険適用申請中です。

 またシクロスポリン#(免疫抑制剤)やメトトレキサート#(抗ガン剤)も用いられることがあります。その他の薬剤としてフラジール(クローン病の薬剤参照)、もしくは、肥満細胞脱顆粒抑制剤などが用いられるようですが後者の薬は保険適応ではありません。 海外報告では、「インタール」、国内で開発された薬としては、「リザベン」を1日300mg投与する方法が難治例や再燃防止に有効である報告が多いようです。作用メカニズムとしては、活動期における即時型アレルギー反応を抑制することです。副作用としては、過敏症があります。*13

 潰瘍性大腸炎の新薬として「ロイコトリエン」や「トロンボキサン」などのアラキドン酸代謝産物の合成を阻害するもの薬剤や受容体に相反する働きをする薬剤(kiloton, ONO4057, E3040)の開発が進められておりその臨床効果が期待されているそうです。*5
【発明の名称】 リポキシン化合物
【公開日】 特開2005-89472(P2005-89472A)
【公開日】 2005.4.7


ステロイド減量の指標
 ステロイドの反応は血液検査の炎症反応所見(CRP#およびシアル酸#、血沈#、血小板等)よりも排便回数と便の形に非常によく反映されます。 便を見て観察することが大切になります。ステロイドの有効反応があれば便の回数と水分が減少し始め、緩解#に近づくにつれ下痢便は、形のある便になり、その周囲に血液を含む粘液が溜まらなくなります。ステロイドはこのような状態に改善するまで高用量を続け、その後、減量を開始します。*13

緩解維持療法
 急性期の初期治療により約80%が緩解期に移行できるが、その段階以降では、サラゾピリンを1日に2,000mg(5錠)、あるいはペンタサを1日に1,500mg(6錠)服用による維持療法を最低2年以上継続投与し、病状が安定し、内視鏡下生検組織の炎症所見が消失したら投薬を中止し経過観察します。*2
 潰瘍性大腸炎の再燃因子として精神的、肉体的ストレスの他に風邪とそれに伴う風邪薬による再燃が知られています。

緩解期の妊娠は?
 緩解期に使用されるサラゾピリンの服用量であれば胎児への影響も問題無いとされていますが、心配な方は是非ともペンタサに変えるべきでしょう。しかし妊娠3ケ月まで薬剤は可能な限り避けることが望ましいと思われます。またサラゾピリンの使用により男性不妊の副作用がありますが使用を止めるか、ペンタサに変えることにより正常に回復します。
免疫抑制剤や、ステロイドを使用されている間は緩解期とは言えないのですし、薬の副作用も多いので、薬をペンタサに移行しても問題なければ考えても良いでしょう。それと妊娠中と判りましたら、医師にお知らせ下さい。患者さんが受ける検査の中で胎児に影響が良くない放射線検査等がありますし、今まで飲んでいた薬も再検討した方が良いのがあるかもしれません。

4.白血球除去療法と 栄養療法の位置づけ

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