クローン病や潰瘍性大腸炎の基礎的な医療情報です。


潰瘍性大腸炎とはどんな病気ですか?
 Ulcerative colitis(オゥサラテイブ コラィティス)と呼ばれ通称UCと呼ばれています。日本の患者数(特定疾患の申請をしている方)は特定疾患受給者証の数で見ると77,073人*2(2002年末)です。最近は年間約4,000人の方が発病していることになり、患者数は増加し続けています。世界的にみると、欧米諸国を中心に患者数が多く、北欧やアメリカの白人、ユダヤ人に特に多いといわれています。Wikipedia(2008年3月1日時点)では、アメリカには100万人の患者がいると言われております。*1

 主として大腸粘膜を主に粘膜を侵し、びらん(潰瘍の前段階#)や潰瘍を形成するびまん性(全体におよんでいること)の原因不明の炎症と言われています。30歳以下の成人に多いのですが、小児や50歳以上の人にもみられます。若い年代と、年輩の2パターンの年齢ピークがあるようです。性別による差はなく、男女比は1:1となっています。

この病気の原因は解明されているのですか?

 細菌感染説、自己免疫異常説など多くの説がありますが、現在のところ原因は不明です。ストレスにより症状が悪くなる傾向もあり、いくつかの因子が複合して発症すると考えられています。

 ゼリー状の粘液が付着した粘液便、血の混じった便やしぶり腹の症状があります。また腹痛、発熱、食欲不振、体重減少、疲れ易くなったりします。活動期の腸管内では大量の活性酸素(フリーラジカル)が発生しています。
 腹部が著しく張った場合は合併症の一つである巨大結腸症の発症が疑われます。中毒症状をきたすこともあり、注意が必要です。

腸管以外の場所(関節や皮膚あるいは眼など)にも合併症がおこりますが、ほとんどの場合は腸の症状が、治療により落ち着けば、腸管外の合併症も消失します。

この病気は病変の部位と広がりにより以下のように分類されます。
1)直腸炎、 2)区域性大腸炎、 3)左側結腸炎、 4)右側結腸炎、 5)全大腸炎ですが、2)と4)の頻度は少ない。

内視鏡検査(大腸ファイバー)やX線透視画像では、病気が悪化している期間には、「大腸全体的にかつ連続性にびらんや潰瘍が見られる」、「腸管が細くなる」「大腸のひだが消える」などの所見が認められ、症状の治まっている時期には、腸管の細くなっていた症状が戻り、大腸のひだが出現し、炎症性のポリープが確認されます。

 初回発作型や再燃緩解型、慢性持続型で、再燃緩解型が全体の85%を占めており、常に大腸摘出手術を受けていない人は、再燃#することを肝に銘じておいたほうが良いでしょう。
 重症度の分類では、1)下痢の回数、 2)粘血便(血便の有無)、 3)発熱、 4)頻脈、 5)貧血、 6)赤沈と補助項目として白血球の値や腹痛の有無で判断されます。
重症度は、軽症、中等症、重症、劇症に分類されます。

軽症は、下痢は、1日4回以下で若干の血便が見られる程度でその他の項目は正常の場合です。中等度は、軽症と重症の中間の症状です。重症は、1)下痢が1日6回以上、2)血便あり、3)37.5度以上の発熱、4)脈拍が1分間に90回以上、5)ヘモグロビン10g/dL以下、6)赤沈は30mm(1時間値)以上の場合を言います。劇症は、1)下痢が1日15回以上、2)血性下痢、3)持続する38度以上発熱、4)、5)の項目は重症と同じ、白血球が10,000/mm3以上の増加があり、強い腹痛を伴います。

 長期経過観察例では、全大腸炎型および病気になり10年を超えるとガンになる可能性が高いようです。大腸内視鏡診断を1年ないし2年に1回は受けたほうが良いでしょう。
 潰瘍性大腸炎の診断は、X線所見、内視鏡所見、および生検組織所見などから総合的に判断されます。除外すべき疾患としては、細菌性赤痢、アメーバー赤痢、日本住血吸中病、大腸結核などの感染性大腸炎および放射性腸炎、虚血性大腸炎、肉芽腫性大腸炎、クローン病です。一番重要なポイントはクローン病との鑑別です。

 治療は、薬物療法として副腎質ステロイド、サラゾピリン、ペンタサ、免疫抑制剤、抗生物質などが使用されています。その他、栄養豊富な食事で、乳製品や繊維(水溶性食物繊維を除く)に気をつけ、頻繁な下痢に対し、電解質や水分の補給や輸液やエンシュアリキッド、ラコールなどによる経腸栄養剤が必要になる場合もあります。
プレドニン←プレドニン サラゾピリン←サラゾピリン ペンタサ5ASA←ペンタサ

施設によりクローン病と同じくエレンタールを処方されている場合もあります。

下血を繰り返す場合には、輸血も必要になります。
 外科的処置には大出血をし、輸血をしても間に合わないような場合や、巨大結腸穿孔(キョダイセイケッチョウセンコウ)、もしくは癌化あるいは、再発を繰り返す場合に手術が必要になります。手術を1回のみで終了させる場合もありますが、人工肛門(ストーマ)を作り、2回に分ける2期分割手術や3期分割手術がありますが、手術器具の進歩もあり現在は2期分割手術が多いようです。潰瘍性腸炎で作られる一時的な人工肛門(ストーマ)は自治体からの給付金は出ないところがほとんどです。たまに裕福な自治体では出ているようですので駄目もとで聞いてみるのも良いかも知れません。

 合併症として、治療薬に大量のステロイドを使用することで骨がもろくなる大腿骨頭壊死#(ダイタイコツコツトウエシ)や、関節痛などがあります。特に大腿骨頭壊死に対する有効な治療はなく、進行をくい止めるか、もしくは、人工骨頭(人工の骨)を埋め込む手術をするかしかないようです。

 ステロイドの副作用が恐いため勝手にステロイドを切ると「リバウンド」という反動の現象があらわれて病状が悪化します。その悪化を押さえるためにステロイドを増やすという悪循環になります。ステロイドを減量する場合は主治医に相談して慎重な減量をして頂きたいものです。特に10mgを切ってからの減量は神経を使う必要があります。

 ステロイドは炎症を押さえると同時に副腎の機能を押さえています。炎症を押さえる人間本来の機能(副腎の役目)は、釣り合いの取れている現状から急にステロイドだけを切ってしまうと、副腎の機能は急には適合しないので、炎症を起こそうとする働きに負けてしまうのです。

 クローン病との違いは病変が、大腸のみに限定されていることで、大腸を全部とってしまうと、病状自体は無くなってしまいます。現在、手術術式が発達し、永久人工肛門(ストーマ)になる人の率は大幅に減ったそうです。

白血球除去療法が2000年4月に認可されました。活性化された白血球/顆粒球を人工透析のような方法でフィルターを通し取り除く方法です。ステロイドを使いたくない妊婦や副作用を嫌う人には有り難い治療方法です。口から飲むタイプの薬以外に、肛門部から薬を注入する注腸タイプの薬があります。副作用を減らすという観点と薬が届く範囲は効果は高いという点で処方されます。治療に反応しない難治例の場合は免疫抑制剤が併用される場合があります。それでも内科治療に応答しない場合や症状が急激に悪化する場合は、外科手術が検討されます。

*1
.Wikipedia English版
*2難病情報センター 特定疾患医療受給者症交付件数より

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