内科治療

a.薬について
1. クローン病、潰瘍性大腸炎それぞれよく使われる薬について簡単に3つほどお答え下さい。
福田 
薬物としましては、クローン病では成分栄養剤、一般名でいうと、「エレンタール」という栄養剤です。それから、栄養状態が良くても、病変が治まらないという場合があります。栄養剤だけでは不十分な場合には、薬物を使うことになりますが、主に使われているのは、「ペンタサ」という薬と、「サラゾピリン」という薬です。あと、免疫抑制剤でいくつかありますが、基本的に免疫抑制剤は、クローン病では、私の方では使っていません。それから、肛門に病変があって、肛門の周囲膿瘍というのがある場合には、抗原虫剤であります「メトロニダゾール」(フラジール)という薬は使うことがあります。測らなくても、欠乏があるかもしれないなということで投与していますので、全く無視しているわけではないということです。
 それから、回腸末端を切った患者さんでも、頻繁に下痢が何度も起こらなければ、回腸末端の切った残りの部分が、また回腸末端になってきまして、ビタミンB12の吸収などがよくなってきます。つまり、ビタミンB12負荷試験、シリングテストというのですが、そういうのをやってみますと、クローン病の患者さんで回腸末端を切っていても、時間が経って緩解状態が続いている患者さんでは、ビタミンB12の吸収は普通のような状態でできているということで、あまり気にしなくてもいいのではないかと思います。


根津
内科の領域の話だと思いますが、潰瘍性大腸炎の場合は、ステロイドがメインですね。そして、「フラジール」も時に使うことがあると思います。同じ様な薬だと思います。それから、ペンタサ系統、免疫抑制剤は私の所では使っていません。

2.プレドニゾロンの1ヶ月の投与上限と累積投与上限、減量指標を教えて下さい。
 ステロイドの減量の指標を教えて下さい。主治医により減らし方が急な先生や反対になかなか減らしてくれない場合もあり、基準ははっきり書かれた資料を見かけません。特に10mgをきってからの見解がバラバラな気がします。

福田
状態の悪いときには、40rまたは60rの1日の投与量を、普通2週間というのを限度で見ます。で、その間に、いい状態に落ちついてくれば、それをまた20rにおとして半分ぐらいづつ減量していきます。最後のそれがどうしても下げられない状態で、2週間経ってもまた悪くなるというのであれば、それは、経口の投与から、口から飲まない方法で、点滴の中で入れる方法。または、動脈に入れる方法など投与方法を変えるということが必要になります。それで、変えても良くならないという場合には、手術ということを考えなければいけないと。ほんでまあ、私どもの所では、そういう患者さんの場合には、白血球除去療法や、新しい治療法ができてきていますので、そういうことを一応考えるというふうにしています。
 だいたい半分ずつ、二週間見当で下げて、半量におとして行きますが、最後、10r位まできて、いい状態の時に、潰瘍性大腸炎の場合、ポンとやめちゃうとまた悪くなる。最初にまたもどるということがけっこうあるわけですが、10r位ですと、ちょっと長く使っても、副作用という意味では、あまり大きな副作用はないと考えています。私どもの所では、10rを隔日で投与して、それで、徐々に良くなったら、あとはやめていくというふうに進めています。


馬場
福田先生と全く同じです。やはり、総量が10,000r以上になってきますと、ステロイドのいろんな副作用が出てくるということでありまして、15,000rだとか20,000rだとかいった状態であれば、手術の適応ということも考えないといけない、というのが、一般的に言われていることだろうと思います。
 減量につきましては、症状と検査所見といったものを加味しながら、30rまではだいたい半量でいきますが、30r、25r、20rといった点については、5rずつぐらいの段階的な減量、2週間を一つの目処にしてやっております。10rにつきましては、しばらく、1ヶ月あるいは、場合によっては6週間とかそういった状態で、あとは隔日投与、あるいは、10r、5r、10r、5rといったような形をとる方がいいのではないかと思っております。


3.IBD患者に対して禁忌の市販薬について教えて下さい?急な発熱、カゼなどで、主治医のもとにいけない場合。市販の「解熱鎮痛剤」「風邪薬」等を薬局で求める事もある。その時、留意すべき点は?また薬剤師に告げなければならない必要事項は何ですか? (両方)

福田
特別ないのですが、まず、風邪をひいたりして、高い熱が続いていたりというときは、脱水があります。その脱水がきっかけで悪くなることがあります。ですから、風邪薬を求める前に、かかっている専門の病院が遠ければ、お近くの先生でいいですが、風邪で脱水っぽいということで、まず、点滴を受けていただくという方が、たくさん薬を飲むよりは、より良いと思います。それで、薬は、ほとんど抗生物質にしても何でも、通常のアレルギーや、そういう体に合わないということがなければ、他の人と一緒だと思います。ただ、抗生物質たくさん飲みますと、腸内細菌といって、腸の中の細菌層が狂ってきまして、下痢が起こりますから、それがきっかけで悪くなることがあります。ですから、抗生物質に関しては、量をたくさん何日も続けるという場合には、勝手に薬局で買い求めるよりは、先生を受診していただいた方がいいと思います。

4.キリンビールより発売予定のビールカスを原料とした健康食品についての最新情報を教えて下さい。この健康食品は何ぜ効果があるのでしょうか?

 
キリンビール株式会社の関東にございます、応用開発研究センターの主任研究員様の方から、この件について、ポイントを絞ってご回答いただきましたので、伝えさせていただきます。
 キリンビールは数年前より潰瘍性大腸炎の患者さんの下痢症状緩和を目的として、ビールカスを原料とした、食品素材の開発を行ってきました。昨年末に潰瘍性大腸炎患者向けの病者用食品として、厚生省に認可を申請しております。現在、厚生省において審議中であります。なぜ効果があるかという点につきましては、
1.膨潤性があるので、便の量が増えること。
2.アミノ酸の一種でありますグルタミンが多く含まれており、腸粘膜の栄養となること。3.この食品で腸内細菌が増えることにより、酪酸という腸粘膜の修復に効果のある物質を多く生産すること。
によると考えている、という内容の回答をいただきました。


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