c .抗体療法について 

1.副作用の少ないニューステロイド剤は、欧米では以前から使用されているのにもかかわらず、国内で認可されていません。国内での臨床使用の見通しは何年位先でしょうか?(両方)●ベクロメタゾン注腸やブデソニドに関して教えて下さい。
福田
 ブデソナイドという薬が、特にクローン病の患者さんで非常に有効であるということが欧米では言われています。ブデソナイドというのは、ステロイド剤ですが、徐々に溶けてくるという薬です。ですから、薬を飲んで、小腸に狭窄などがありますと、狭窄のあるところで止まってしまいますね。止まるとそこでゆっくり溶けていって、そこにだけ薬がかなり高濃度でいくことになって、全身のあまりいらない所にはいかなくて、必要な所にだけいきますので、クローン病にはかなりいいだろうと考えられていて、実際に効果があります。

注釈:2008年現在、商品名:ブデソナイドはクローン病、潰瘍性大腸炎には認可されておりません。海外ではクローン病のみ認可されています。

2. 抗TNF−α治療薬の現状について教えて下さい。
  ●国内治験のなぜストップしているのか?●海外の臨床データーは?●本当に効果があるのですか?●副作用は?●いつになったら臨床使用されるのか。治験施設で無いとすれば不公平だ!(CD)●潰瘍性大腸炎には効果ありますか?)(UC)と事前アンケートで様々な質問がありました。

馬場 
「TNF−α」というのは、白血球や単球やマクロファージという所から出される炎症性のサイトカインの一つです。このTNF−αが炎症の中心になっているという考え方です。このTNF−αに対する抗体で、「抗TNF−α抗体」というのを打つと、その炎症性のサイトカインが制御されて、局所の炎症が止まるということで開発されているわけです。 ただ、抗TNF−α抗体というのは人に打つわけです。マウスから抗TNF−α抗体を作っています。これをキメラ抗体といっているのですが、できるだけ人にショックを与えないようにマウスの部分をごく少なくしています。10%ぐらいがマウスの抗体であるといったものが現在作られています。潰瘍性大腸炎だけではなく、リュウマチ等についても治験が行われております。治験に関してはストップされておりませんで、日本での治験が終わって、厚生省に申請しているところであります。
 
どういう患者さんが適応かというと、クローン病が急性に増悪してきたときです。熱が出て、炎症が非常に強いときに、炎症を起こしているTNF−αに対して、中和抗体を与えてやって、全体の炎症を抑えるということです。1回注射しますと、6週ないし8週間の間に炎症が落ち着いてきます。しかし、それが先ほど言ったように一部マウスのものがありますから、それを2回3回と打ってきますと、人間の体にマウスに対する抗体が出来てきて、そして、ショック症状に陥るということが懸念されているわけであります。クローン病に対する急性増悪期の新しい治療法として注目されております。しかし、潰瘍性大腸炎に対しての効果は今のところ、炎症に対するTNF−αの役割が明らかではありません。

注釈:クローン病には2008年現在、商品名:レミケードが認可されております。潰瘍性大腸炎には認可されておりません。

3.白血球除去療法とは? 効果があるのか、厚生省に申請してから期間が経っていますが、認可の見通しは?潰瘍性大腸炎に効果があると聞いていますが、クローン病についてはどうなのでしょう?

福田 
クローン病に関しましては、どういう患者さんに使ってどういうふうにしたら、効くのか効かないのか、何%効いているのかなど、そういうようなことを結果として厚生省に申請しなければいけませんので、その申請するデータを今、集積中という段階であります。

 潰瘍性大腸炎の方は一歩先にもう申請しています。ダブルブラインドといいまして、片一方は本物の「白血球を除去する器械」を、もう一方は白血球を除去する器械に似ていて、全く区別がつかないのだけど本当は除去しない、というのをしています。ひょっとするとはずれるかもしれませんという同意書をいただいて、ダブルブラインド(二重盲検)を行い、それで、ほんとに差があるのか、白血球を除去した方がよくなるのかというのを、もう1回証明しなおそうと、厚生省からの指示で今やっているところです。

注釈:潰瘍性大腸炎に対する白血球除去療法は2008年現在認可されております。クローン病には認可されておりません。


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