就職・就労について
1-Aクローン病や潰瘍性大腸炎の人はどんな職業についておられますか実際のところを聞いてみましょう?ひこばえ会の新山さん、大阪IBDの谷口さんにお伺いします。就職難で病気を抱えて自信を無くしている患者さんが大勢います。就労は可能でしょうか? ●現在、どんな職業に就かれていますか?)
新山(CD)
可能・不可能という問題ではなくて、ここに書いてあるように、就職難で病気を抱えて自信をなくしているという、その自信が問題だと思うのです。今の就職難の時代だったら、別に病気であろうがなかろうが、自信があるかないかという問題になると思うのです。自信があれば別にいいと思うのですが、その自信をどうやって持つかというのに問題があると思うのです。
私は前職は会計事務所に勤めていて、それで、病気で1年くらい療養した方がいいということで辞めて、その後、公務員になったのです。私の知っている限りでは、公務員や大企業の方がけっこう多いですが、障害者手帳などを持っていれば障害者雇用というのがあるので、そういうので就職されている方が多いです。
谷口(UC)
私のほうも、可能でしょうか、ということに対しては可能だと思います。ただ、僕らは緩解期と再燃気があるのです。緩解期というのはほとんど正常な状態なので、仕事に関してはほとんど支障がありません。うちの大阪IBDの会員の方でも、自分の体と職種を相談して、選ばれるのはけっこう事務系統が多いと思います。ただ、資格などに走っている方もけっこう多いと思います。
ぼくも病気になる前は、一般の会社で営業をやっていたのです。ノルマとストレス。そのストレスに対して、発散するのに酒を飲みに行ったりいろんなことをしまして、、それが重なってだんだん下血するようになり、この潰瘍性大腸炎が分かったのです。そこから約3年間ぐらいその会社にいたのですが、やはり、病気で何回も休むというあたりを見てもらえない会社もあり、私の場合はそれで退社して資格のほうに走りました。今は2級建築士の試験を通って事務所をやっているのですが、病気ということにこだわりすぎない方がいいとは思います。
1-B 求職時に病名を隠してもよいでしょうか。隠した場合に問題はありませんか?
新山
最初の会計事務所のときは、求職時には病名を隠していたのです。胃腸が弱いというぐらいしか言わなくて、「今、健康状態は良好です」というふうに言ったのですが、やはり、隠しているとその分がんばらなきゃと思うので、どうしてもその仕事に就いてから、頑張り過ぎるのですね。ですから、どっちかというと言った方が、入ってから後が気楽にできるのではないかというのが経験上あります。谷口
求職時に病名を隠して良いかということですが、ぼくは別に隠してもよいと思います。面接時などの相談をよく受けるのですが、例えば10社受けたとして、それに全部病名のことを言わなくても、ここの会社のその職種では多分、体力的な物が必要であるだろうと思うような所は言ってみて、それに関係のないような、例えば、一般の事務職というのであればちょっとずるいようなのですが、隠してとりあえず就職につくという手段も一つの作戦ではないかと思うのですね。その後で「なんで隠すんや」と言われるような問題も出てくるかもしれませんが、それだけ働く意欲があるんだということを証明すればよいと思うのです。
1-C 職場ではどのようなことに注意していますか?
新山
別に注意ということはないのですが、朝はぼくも市川さんと同じでごはんは食べないのですが、お昼は食べたとしてもおにぎり1個くらいで、後は水分をできるだけ取るようにするというぐらいですね。夜はうどんやそーめんなど麺類がけっこう好きなので、そういうのをできるだけ摂るようにして、後はエレンタールを5パックやるという生活をしています。
谷口
以前、一般の会社に勤めていたときは、やはり、トイレの位置が関係あるので、外へ出たときなどはすぐそれを探したりしていました。それから、食事の時はどうしてもサラゾピリンやプレドニンを飲まないとだめだったのですが、やはり飲むのを見られるのがいやだと隠す人もいるのですね。それよりもおおっぴらに「これ飲まなあかんねん」という感じで、食後のデザートみたいな形で薬を飲むのを人に見せつけていけばいいと思います。例えば、同僚の者が「あの薬忘れてるのちゃうか」と言われて飲んだということもありますからね。その辺はおおっぴらに行けばいいと思うのです。後、夜に飲みにいかないといけないという分に関しては、これは自分の体のことなので、酒が弱いといういいわけもしていかなければいけないのではないかと思います。
司会
株式会社憶良 山本さんより就労に関しまして事前にIBD患者さんにアンケートを行って頂きました。
集計結果に興味深い点が出ていますのでお話をお願いします。
(A.どんな職業についているか?適職は?B.就職は可能でしょうか?C.求職時に病名を隠してもよいでしょうか。隠した場合に問題はありませんか?D.職場での注意点はどのようなものですか?)
山本
まず、アンケートにご協力いただきました方々に対しまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。4つの点につきまして、すこしお話をさせていただきたいと思います。これから申し上げることが新山さんと谷口さんがおっしゃられたことの裏付けになればと思います。
まず1点目でございますが、資格と特技ということでございます。仕事を持っておられる有職者の方とそうでない方とで、その資格と特技について特に大差は見つけられませんでした。就労のキーワードになる特技や技術というものは特に必要ないと思います、
2番目でございますが、在宅ワークを希望される方がたくさんおられました。ただ、一つニュアンス的に違うところがございます。有職者、仕事を持っておられる方につきましては、現在の組織の中で働いておられれるということで、その組織の中のストレス、仕事よりも人間関係のストレスというものが理由で、在宅ワークを希望されるということでございます。仕事を持っておられない有職者でない方におかれましては、病状の不安とそして、企業からの対応と現実の壁に向かい合われまして、新しい職場・仕事、そして、面接の不安が先に立っていると思われます。
次に適した職種というものでございますが、仕事についておられる方におかれましては、内勤だけではなく、営業や外回り、そして、配送というような仕事に就かれておられる方々もおられました。個人差が大きい病気でございますので、そういった方々は特別と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、本当にそうなのかどうなのかというのはよく分かりません。
最後、まとめに入っていきたいと思いますが、現在、企業や行政というものは、仕事を外に出す、アウトソーシングというものを非常に研究されておられます。将来的には、コンピュータなどを利用しまして、在宅勤務というものが増加するのは間違いありません。ただ、コンピュータは単なる道具ですので、大切なことはコンピュータを勉強するということではないと思います。大切なことは、その人にしかできない何かを見つけてまた作り上げるということかと思います。それが在宅ワークの道を可能にすると思います。将来は在宅ワークができるように、皆様におかれましては技術やセンス、そういったものを身につけるあるいは伸ばすというために、今があると考えていただくのはいかがなものかと思います。
2.就職難のためか、病気のためか定職に就くことができずに困っており、何か方法はありますか?(両方)→ソーシャルワーカー
野村
クローン病だから、潰瘍性大腸炎だからというくくりでは、今、この日本の社会には、職業を保証する制度は残念ながらほとんどないに等しいと思います。先ほど新山さんがおっしゃってました障害者雇用枠というものも、クローン病あるいは潰瘍性大腸炎によって、膀胱・直腸あるいは小腸に障害が生じた場合に身体障害者手帳が取れれば、そういった雇用枠が確保されているということであります。それが今の日本の現状だと思っていただいたらいいと思います。
もし、身体障害者手帳が取れた方については、ハローワーク、昔でいうと職業安定所に障害者雇用枠というのが用意されていますので、そこの窓口がご利用いただけます。ただ、そこの窓口に行けば希望にかなう仕事がたくさんあるというわけではなくて、結局、障害者雇用枠を採用している企業がどれだけあるかという問題にもなってきますので、なかなか万能な制度ではないと思います。
それから、身体障害者手帳を持つと、小腸・膀胱・直腸の方は、内部障害者というくくりの中に福祉法では入ってきます。内部障害というのは、腎臓や心臓、呼吸器障害の方たちと同じ並びなってきます。内部障害者の厚生施設というのが、身体障害者福祉法にはありまして、そこでは、1年を限度に入所して、職業訓練と自立生活訓練を積むという所があるのです。しかし、残念ながら今、日本には5カ所しかありません。有名な所では東京にキヨセリョウゴエンという所がありまして、そこに最近お電話する機会がありました。ここ何年かはクローン病あるいは潰瘍性大腸炎を元とする、内部障害者の手帳をお持ちの若い方もけっこう利用されていますということでした。ただし、関西には藤井寺にある施設1カ所しかないというのが現状です。
後は職業訓練校というのが、身体障害者福祉法にはあります。こちらも手帳を持っている方が条件で、例えば、臨床検査技師の資格を取るための訓練課程が用意されているとか、印刷の技術を学べるなどという学校があるのですが、わたくしが知っている限りでは、基本的には身障者手帳を持っていることが条件です。しかし、兵庫県の職業訓練校の中には、1カ所難病の方にも門戸を開いている所があります。そこですと、いわゆる潰瘍性大腸炎・クローン病という病名が付いている方については、もしかしたら、ご利用いただけて何らかの訓練を積んでいただけるかなというのが現状です。
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