社会保障制度

1.ソーシャルワーカーはどんな職業ですか?大きな病院にだけ配属されているのですか?(両方)
●通院中の病院にソ−シャルワ−カ−がいない場合、相談だけで他の病院に紹介してもらう ことは可能でしょうか? (CD)

野村
ソーシャルワーカーという仕事は、戦後にケースワーカーという名前でアメリカから入ってきた社会福祉の援助職です。非常に分かりにくいのですが、病院にももちろん私たちみたいにおりますし、地域の在宅介護の現場にも在宅支援センターにもソーシャルワーカーという方はいらっしゃいます。公的な社会福祉事務所の窓口や保健所などそういった窓口にもいらっしゃると思います。
 それで、ソーシャルワーカーとして共通して言えるのは、例えば、病気になったりおうちで暮らすことになったりして、今までおくってきたような生活パターンがおくれなくなったとき。この社会にあるどんな社会資源を動員して、それは人的なものも制度的なものも物的なものも含めてなのですが、どういう形でよりよく生活することができるのかというところをいっしょに考えていきます。そして、その方の権利となるものが具体的にどういうものがあるか。社会補償制度なども含めましてしっかりご理解いただくという職業です。
 もちろん日本の病院でいえば、大きな病院にもいる所もありますが、おいていない所もありますし、小規模な病院にもおいている所もあれば、いない所もあります。まだ、そういった意味で職業的にはしっかり確立されていない過渡期の仕事かなとは思います。

2.潰瘍性大腸炎ではクローン病と異なり、手術することなしでは身体障害者の認定は難しいのでしょうか?UCの身体障害者の認定基準を教えて下さい。
 ●平成10年8月24日患者会「埼北IUC(代表 金子敬次氏)」が厚生省大臣官房障害保健福祉部企画課(佐藤課長補佐)に全国患者団体の有志署名を集めて「潰瘍性大腸炎患者を身体障害者4級」に認定するよう交渉(陳情)しましたが、受け入れられませんでした。この点について専門的見地から行政の見解、ソーシャルワーカーの先生の見解を詳しくご説明ください。 (UC)

馬場
潰瘍性大腸炎の患者さんは、全国的な医療受給者の登録で見ますと、5万人を超えているということです。厚生省では、難病としての公費負担は5万人以上になってくると、特定疾患の概念からはずれるという非常に強い発言があって、そして、今年度から、医療費の負担のほうも前年度と違って負担が増していると思います。それで、今いったように、患者が多くなってくると難病ではないという厚生省の見解があります。
 身体障害者4級ということでありますが、この内臓疾患で、身体障害者の4級というのはなかなか取れないのです。関節や四肢の障害といったものは比較的、障害認定の基準が甘いといいますか、相応の認定がされているのです。しかし、内臓疾患の中でも特に腸の疾患というものにつきましては、重症度の認定の基準が非常に強いというのが問題であります。したがって、潰瘍性大腸炎の方、あるいはクローン病においてもそうですが、障害者の認定、つまり、重症の認定あるいは障害者の認定というのは一番大きな問題になっております。もう少し患者全体のQOLの観点から考えてほしいと私は思うのです。しかし、医療費の問題につきましては、福祉の問題と医療の問題とは違うのだということですが、身体障害者の場合は福祉の観点になってきているので、いずれかで、きちっとした対応をしていただかないと、非常に混乱するのではないかなというように思います。あまり、適切な回答が得られなかったかも分かりませんが、ソーシャルワーカーの先生から少し付け加えていただければ……

野村
まず、この患者会が働きかけた件についてですが、身体障害者手帳の法律の意味というのを考えていただけたらいいかなと思います。私たちの相談のお部屋にこういった手帳のことでご相談いただく患者さんについては、その法律の意味とどういうところを認定するものなのかというのをしっかりご説明させていただいています。
 この身体障害者手帳というのは、先ほどもお話ししましたように、病名で認定を受けるものではなくて、お体にどういう機能障害、つまり、どういう支障があるかというので取るわけですね。ですので、潰瘍性大腸炎というご病名で身体障害者手帳4級を取るというように働きかける意味合いのものではなくて、今もう法律としてあります膀胱直腸障害として、その診断基準の幅をどれだけ広げられるかというような働きかけでないと、この法律は変えられないかなというような気がします。
 昨年度、免疫機能障害というのが追加されましたが、それについてもHIV感染症だからというわけではなくて、HIV感染症によって免疫の働きに支障が出るということで、働きに支障を与える部所で障害名を追加したという形になっています。それからお考えいただいても分かるかと思うのですが、身体障害者手帳というのはそういった法律のものです。
 潰瘍性大腸炎によって、実際、お体のどこにどういう支障があるかというのを問い直していただいて、そして、今ある法律の診断基準がどこまで狭いものか。日本の医療というのはすごく発達していますので、法律が追いついていないことによってこういうことが起こっているというのも現状です。ですので、そういった働きかけをしていただいたらいいかなというのが、ソーシャルワーカーの立場からの意見として言わせていただきます。

福田
質問いいですか。確か、難病の手帳ですと国で医療費を面倒見るという形になっていますよね。それで、身体障害者手帳を持っていて、身体障害者のほうで治療を受けるということになると、市町村がその医療費を持つということになるわけですね。そうすると、市町村自体の財政やそういうようなことで、診断基準などについての差があるとかそういうようなことというのは現状はいかがなのでしょうか?
野村 あるかと思います。、ご利用なさっているみなさんがすごく肌身に感じていらっしゃることだと思うのですが、例えば、クローン病の患者さんだと先ほども話したように、小腸機能障害の手帳か膀胱直腸機能障害の手帳、ということは要するに特定疾患制度と身体障害者福祉法を両方お使いいただけることができる可能性が出てきます。潰瘍性大腸炎の方については、特定疾患の病名として医療助成をお使いいただけることと、場合によっては膀胱直腸障害で手帳を取っていただくことができると思います。
 医療費の特定疾患制度と身体障害者福祉法というのは、縦割りの社会保障制度の中で別々の流れの中にある制度ですので、1人の人間が二つの別々の縦割りの制度を利用していただいたときの、横のつながりの弊害というのが実際起こってきているというのが確かです。それで、特定疾患のほうの制度にも重症認定という制度ができまして、先ほど先生もおっしゃっていましたが、特定疾患の病名で取るほうの制度も、身体障害者手帳のほうの等級を何級持っているかというのを参考にするようになってきたのです。ところが、参考の仕方も市町村によってすごく差がありまして、身体障害者手帳のほうで医療費の助成を受けていただける方、両方の制度にまたがって医療費の助成を受けていただける方、特定疾患でなければ医療費の助成が受けることができずに自己負担が発生してしまう方たち、というのが実際生じてきているのが現状です。

3.クローン病の身体障害者の認定基準を教えて下さい。
A.(1) 小腸機能障害(2)人工肛門の造設個所や(3)人工肛門周囲の皮膚の状態、(4)胱機能の障害程度によって決められると聞きましたが、具体的に詳しく、教えて下さい。(UC)
B. 障害手帳のメリット・デメリットを教えて下さい。

野村
クローン病の患者さんが身体障害者として手帳を取れる場合の認定基準について、という形でお答えさせていただきます。身体障害者手帳にはいろいろ種類がございますが、先ほどもお話ししましたように小腸機能障害と、もしかしたら膀胱直腸障害が対象になるかもしれないということですね。それで、この手帳というのは障害がある部位別に取るものですので、お1人の方が二つ取ることというのはゆうゆうあり得ることなのです。
 基準としましては、厚生省が一応、『身体障害者手帳その基準と解釈』というこんな厚い本を出しているのですが、そこにすべての障害の基準が書かれていまして、それに基づいて、認定医の先生方が身体障害者手帳の診断書を作成するという形になっています。詳しくは書面でも引用の文章を載せさせていただいたらいいかと思うのですが、おおまかに言いますとポイントとなってくる点としては、まず小腸機能障害については、小腸を切除されているかどうか。切除されている方については、残っている小腸の長さがどれぐらいあるのかというのが詳しく書いてあります。後は最近の体重減少率がどのぐらいかとか、アルブミン濃度の数値がどういった感じかというのもすべて書くようになっています。それから大きいものは、小腸切除されていない方については、経腸栄養療法をどのくらいの期間しているかというのもしっかり書く基準があります。経腸栄養療法については、経腸栄養という項目がございまして、エレンタールをお口から飲んでいる方については対象になりませんという、一応基準が別の言葉で書かれています。あくまでも経管で摂取されている方で、6ヶ月以上の経過観察の期間がもうけられている方というのが一番軽い4級という基準になっています。3級、1級と上がるにつれて、小腸を切除して残った部分が何センチか、または、小腸は切除していないけれども、実際働いている部分が何センチしか残っていないかというのが詳しい基準で出ています。
 それから、(2)、(3)、(4)は膀胱直腸機能障害という項目になってくると思うのですが、これはクローン病の患者さんだけでなく潰瘍性大腸炎の方ももちろん対象になってくる項目だと思います。それで、造設の箇所というのが問題になりまして、その方が人工肛門を空腸・回腸に付けたか、上行結腸・横行結腸に付けたか、あるいはS状結腸のほうに付けたかどうかという部所別に細かく分かれてきます。
 そうしまして、小腸でも割と前のほう、肛門からより遠くに付けられた方については、手術後すぐ、とりあえず一番軽い4級というのを取っていただける一群の方と、S状結腸や後ろのほうに付けられた方については6ヶ月待たないと4級の認定も検討できないなど、いろいろ細かく分かれています。後ろのほうに付けた方については、人工肛門造設しただけではなくて、びらんがあるかどうかとか、そういったプラスの条件が整うかどうかで、人工肛門を付けても取れない場合があります。
 大きい問題は、その人工肛門が永続的なものかどうかというのが認定のポイントになります。それで、一応、厚生省の基準では一時的なものについては対象外であると。その状態が固定としてずっと永久的に続くものに対してだけ認定基準にしますという形です。、
 先ほど最初のほうにありましたように、医療の進歩で潰瘍性大腸炎の患者さんについては、一時的な人工肛門造設が多くなってきたというお話がありましたが、そうなってくると潰瘍性大腸炎の方は、今の膀胱直腸機能障害の基準では身体障害者手帳は持っていただくことが難しくなってくるなと。そうなったときにどうしたらいいのかというのを考えていただいたらいいかなと思います。

4.生命保険への加入はできますか? これだけ,競争時代になり,各社のリスク管理が厳しくなっています。例えば,(1)国内生保,(2)外資系生保,(3)全労災等の共済,(4)郵便局の簡易保険ではどの保険が加入できますか?個人差はあることは押さえつつ,(1)〜(4)について教えて下さい。
野村
ソーシャルワーカーの立場としましては、いろいろ調整させていただく制度という範囲が、主に、いわゆる社会保障制度の範囲がメインですので、なかなかこちらから積極的に「こういう生命保険がいけますよ」というようなことはあまりしません。というのは、生命保険は会社によってぜんぜん基準も違いますし、私的な財産の一部となってきます。ご希望があったときに、ご本人さんがどうしてもその会社に問い合わせができないとなればお電話させていただいたりはしますが、難病であるという診断が確定してしまった時点で加入できる例は、私どもは今のところ存じておりません。ですので、逆に患者さんの側から教えていただけたらいいなと思います。

櫻井
私どもが少し調査しましたところ、やはり現時点では、病気のことを明らかにして入れる生命保険はないというのが現状です。それで、いろいろ聞きましたところ、例えば2年以上入院されていないとか、そういった諸々の条件をクリアしていけば、何とかかんとか入れるという方もいらっしゃるそうです。年齢とかいろいろあると思いますので、ご自分で探すしかないというのを私は個人的に思いました。何とか制度を変えたいと、私は個人的に頑張っていきたいと思っています。

福田
保険に関しましては、例えば、掛け捨てのガン保険など、そういうのは入れるでしょうか?

櫻井

一概には言えないですが、ガン保険というのは入れるそうです。これはここで言ってもいいのかどうか分からないですが、私の個人的な見解で聞いていただければ、クローンの方は、ガン保険に入っている方は多いということです。それ以上のことは何とも言えないです。


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