肛門周囲の瘻孔、腹腔の腸皮膚瘻について

肛門周囲に瘻孔の認められる患者は膿瘍を切除しなければならず、瘻孔中に堆積物が一つでもあれば、外科的ドレネージを施さなければならない。上皮形成の痕跡を掻爬(そうは:掻き出す)すれば、治癒しやすいはずである。1つ以上のセトン(シートン)を使用しても抗TNF-α抗体投与の禁忌ではないが、治癒した場合のセトン抜去の最適時についてはまだ規定されていない。

アザチオプリン(免疫抑制剤)とレミケード

痔瘻が原因の炎症緩和にしばしばアザチオプリン(商品名:イムラン)が有効であるが、痔瘻は閉鎖しないままである。しかも、効果が発現するまで3-6 ヶ月かかる。中等度の痔瘻患者の多くがアザチオプリンや6-メルカプトプリン(商品名:ロイケリン散)を6 ヶ月投与された後も活動期の症状が認められる場合、抗TNF-α抗体投与を検討するのが妥当であると考えられる。重度痔瘻に進展した患者の場合、第一の治療法として抗TNF-α抗体の早期使用は選択肢の一つである。抗TNF-α抗体によって症状が改善した場合、次に解決しなければならない難問は緩解維持である。改善した患者の多くはレミケードを1回投与されただけだと、閉鎖した痔瘻がいつかまた開いてしまう。そのため、医療コスト、長期の有効性、安全性の難問が解決されるまでは、(アザチオプリンに対する寛容性が高ければ)アザチオプリンによって緩解維持を図るべきなのである。

たった1 回の比較試験による結果に基づいて投与量を算定すると、痔瘻患者に対しては6 週間にわたって5mg/kg のレミケードを3 回投与することになる。

海外で免疫抑制剤と抗TNF-α製剤との併用療法は標準化され、ようやく国内でも治療指針改定案 潰瘍性大腸炎クローン病に採用された。*2.3

イムランもクローン病および潰瘍性大腸炎に保険適用となっている。しかしながら、田辺三菱製薬は、レミケードと免疫抑制剤の併用を行わないよう口頭ベースでアナウンスしている。、悪性腫瘍発現リスクがあるとし、副作用報告されるリスク回避と思われる。現在、イムランおよびロイケリンやレミケード治療抵抗クローン病におけるタクロリムス「商品名:プログラフ」の寛解導入に関する有効性を評価の治験が京都大学消化器内科を中心に開始されており、期待の出来る薬である。

腹腔*(ふくくう)の腸皮膚瘻

物療法によってクローン病の腸皮膚瘻がまれに治癒することがあるものの、通常の場合は外科的治療が必要である。腹腔瘻患者の9 例しか治癒しなかった比較試験の結果が発表されたが、腸皮膚瘻と肛門周囲病変は別個に報告されなかった。そのため、腸皮膚瘻患者に対する治療成績については不明である。腸皮膚瘻患者を対象にした大規模な臨床試験が現在進行中である。その結果が出るまで、抗TNF-α抗体投与は手術危険度の高い患者や瘻孔が再発した患者だけに行うべきである。

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