クローン病の新薬に期待される新薬について文献を紹介する。最初は、この薬の特徴であるPEGについてですが、血中濃度を維持するのに使われる技術です。ヒュミラは2週間に一度の投与であるが、シムジアは4週間に一度で良い。それを可能にしているのがPEGです。C型肝炎の治療薬である。PEGインターフェロンはこの技術を用いて病院で治療する回数を減らすことが可能になったと言われています。
1.生物学的治療におけるPEGの影響 (Google翻訳)
The impact of PEGylation on biological therapies.Veronese FM, Mero A.BioDrugs. 2008;22(5):315-29.
翻訳文の精度関係で抜粋。
ポリエチレングリコール(PEG )を用いて薬効を血中に長期間持続を目的に用いられています。C型肝炎、白血病、重症複合免疫不全症、関節リウマチやクローン病など、いくつかの慢性疾患の治療にも用いられている技術です。
次に紹介するのはシムジアの添付文書(製品説明書)に紹介されている文献データです。
シムジアの有効性と安全性は、中等度から重度の活動性クローン病の18才以上の患者を対象に、2つの二重盲検プラセボ比較試験*が行われている。シムジアは両試験において400mg の皮下注射となっています。2本分の標準投与量を用いている。
*二重盲検=どちがが治験薬か偽薬か医師も患者も判らないように設計された治験。プラセボ=偽薬
2.PRECiSE 1 Study (Google翻訳)
Certolizumab pegol for the treatment of Crohn’s disease.Sandborn WJ, et.al.; PRECISE 1 Study Investigators. N Engl J Med. 2007 Jul 19;357(3):228-38.
PRECiSE 1(662例)では、臨床反応(ベースラインと比較してクローン病活動指数(CDAI)スコアの100ポイント以上の減少)および臨床的緩解(CDAIスコア150ポイント以下と定義)を評価した結果プラセボと比較してシムジア投与群で統計学的に有意な臨床反応が認められた。
(6週目:それぞれ27%、35%、26週目:それぞれ27%、37%)。
臨床的緩解は6週目では有意差がみられなかった。
3.PRECiSE 2 Study (Google翻訳)
Maintenance therapy with certolizumab pegol for Crohn’s disease.Schreiber S, et.al. ; PRECISE 2 Study Investigators.N Engl J Med. 2007 Jul 19;357(3):239-50.
PRECiSE 2では、最初の3回は2週間毎に400mgを投与し、6週目の評価で臨床反応が認められた428例に対して、シムジア 400mgまたはプラセボのいずれかを4週間毎に投与した。26週目の評価において、プラセボと比較してシムジア投与群では、統計学的に有意な臨床反応および臨床的緩解が認められた。
レミケード、ヒュミラと比較するとシムジアの臨床効果は弱いという印象です。シムジアの良い点は安全性です。レミケードと比較するとマウス由来のアレルギーの心配がありません。ヒュミラと比較するとヒト型の中でも副作用を起こす部位をカットしているので理論上は副作用の可能性が更に少ない。注射部位の皮下反応もほとんどありません。効果と副作用の両面を考える必要性があります。
次に紹介するのは2009.4記事作成時点では、Pubmedに収載されておりません。
4.PRECiSE 3 Study
CIMZIA PROVIDES LONG-TERM EFFICACY WITH STABLE DOSING IN CROHN’S DISEASE
Digestive Disease Week (DDW) 2008, San Diego, CA.
PRECiSE 3(P3)は、CIMZIAの第III相試験PRECiSEの継続試験として行われた長期オープンラベル試験*。DDW(米国消化器学会議2008)で発表した試験結果には、シムジアの効果が18ヶ月間持続した患者の中間解析も一部含まれている。これらの患者は、PRECiSE 1(P1)またはPRECiSE 2(P2)を終了した後、52週目にP3に登録された。4週ごとにシムジア(400mg)を継続的に皮下投与した結果、80週目には85%以上の患者において臨床効果の維持が認められ、約74%で緩解が得られた。
*オープンラベル=偽薬ではなく治験薬が投与しているとわかる試験。
試験デザインサマリー
シムジアを継続投与(A群)329名 シムジア400 mg 3回投与後+ プラセボ 投与(B群)99名
↓
AおよびB群共にシムジアを投与。
A群の治療結果:52週目に78.8%(204/259名)に臨床効果の維持が、65.6%(170/259名)に緩解。
80週目では、85.8%(182/212名)で臨床効果の維持が、および73.6%(156/212名)で緩解。
B群の治療結果:80週目で86.8%(59/68名)に臨床効果の維持が、75.0%(51/68名)
5.WELCOME Study
CIMZIA PROVIDES RAPID, SUSTAINED RESPONSE IN CROHN’S PATIENTS
Digestive Disease Week (DDW) 2008, San Diego, CA. [Abstract #494]
Multicenter 26-Week trial Evaluating the clinical benefit and tolerability of certoLizumab pegol induCtiOn and Maintenance in patients suffering from Crohn’s disease with prior loss of response or intolErance to infliximab
レミケードの効果がなかった539名の患者に使用して62.2%に臨床反応があり、6週後に39.3%が臨床的緩解したそうだ。患者の3分の1の33.2%は、2週目に、4週目には43.8%が治療に反応していた。
PRECiSE 4 Studyも行われているようですが現時点では結果は入手出来ません。
おまけ
臨床試験では英文字の英語辞書で調べてもけっして出てこない名称がついております。これは、臨床試験の正式名称の一部を抜粋して命名された略語から構成されております。そして、追試験、引用論文等に使い回されて謎の英単語が論文にどんどん登場していきます。必ずしも頭文字を使っているわけでないのでなかなか難の略ですかと言ってフル名称を記載してもピントこない命名も多いです。レミケードの臨床試験はACCENT、ヒュミラはCHOICE試験、CHARM試験と呼ばれている。なんのことやと関係者以外判らない世界の命名です。ホント。。。WELCOMEを知っていたらかなりマニアかも。
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