クローン病および潰瘍性大腸炎患者に於ける食事療法の基本
1)高エネルギー、2)低脂肪、3)低残渣、4)高ビタミン・ミネラル、5)消化の良い状態に調理する。
1)高エネルギー食
【高エネルギーの必要性】
発熱、下痢、腹痛、炎症などにより、食事量が低下したり、必要エネルギーが増加するため、体力の消耗や体重の減少をきたしやすくなります。また栄養素の消化吸収能が低下したり、腸管の病変部から栄養素が漏出したりと低栄養状態に陥りやすくなります。栄養状態を改善することは、体力回復だけでなく、薬効を高め、腸管病変の治癒を促進するなど治療全体に反映します。
【高エネルギーの摂りかた】
栄養状態を改善するときに第一に必要となるのはエネルギー源ですが、食事のみで身体に必要なエネルギーを確保するとなると腸管への負担が大きくなり、再燃率が高くなります。ですから成分栄養剤と低脂肪・低残渣食を組み合わせた栄養療法が最も望ましいとされています。
食事でエネルギーをしっかり摂るには、主食としての炭水化物摂ることが重要です。米飯、粥、もち、うどん、パスタ、パンなどで1日に必要なエネルギー量の60%位を確保するのが理想的です。これらのなかでも一番のお薦めは米飯です。米飯には”難消化性デンプン”が多く含まれており、これが大腸に到達すると食物繊維と同じように人間の身体にとって有益な働きをすることがわかってきています。
米飯を見直し、おいしく食べる工夫をしましょう。(例 おにぎり、炊き込みご飯、炒めご飯など) 甘い菓子、清涼飲料水などの精製された糖類の摂りすぎは、腸内細菌のバランスが悪くなるので注意しましょう。
【たんぱく質は良質のものを】
たんぱく質は病変部の傷や潰瘍を修復するために必要です。しかし十分なエネルギーが確保できていないときにたんぱく質を必要以上摂ってもたんぱく質の働きはせず、すべてエネルギー源として利用されてしまいます。
また、クローン病においては炎症を引き起こす原因にもなりうるので、過剰摂取は控えた方がいいでしょう。たんぱく源としては豆腐などの大豆製品、魚類、卵、赤身の肉類など脂質の少ない良質のものを中心に摂るようにしましょう。
たんぱく質は1回の食事で1品が適当な摂取量です。
2)脂肪はできるだけ控えましょう
脂肪は他の栄養素に比べて腸管への刺激が強く、大腸の蠕動運動を亢進します。また脂肪の消化吸収に必要な胆汁酸が、回腸末端部や上行結腸で吸収されずに腸管に刺激を与え、下痢や腹痛が起こりやすくなります。腸管の安静を保つためには食事中の脂肪の量を制限することが必要です。
脂肪はたんぱく質にも含まれていますので、調理に使用する油は5~10g程度にとどめておくのが理想です。(たんぱく質に含まれる脂質との合計で40g程度となる。)
出典
「クローン病と潰瘍性大腸炎における食事と栄養について」
大阪IBD医療講演会
日時:2000年4月23日(日)PM1:30-4:00
場所:アピオ大阪301号室
講師:社会保険中央総合病院(東京) 管理栄養士 斉藤恵子先生
タグ: クローン病, 油, 食事, 成分栄養剤, 脂肪

