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2009年 12月 19日 土曜日

IBD

この病気について・皆様へのご理解を 

クローン病、潰瘍性大腸炎は、腸管を主とする難病で、腹痛・下痢・血便・下血・発熱・体重減少等の症状があります。患者数は特定疾患受給者証の数で見ると、クローン病で30,000人(2009年度*1)、人口10万人あたり約23.5人のクローン病患者さんがいることになります。

潰瘍性大腸炎で105,000人(2009年度*1)、10万人あたり82.2人。米国ではクローン病と潰瘍性大腸炎をあわせて100万人いると言われ、アメリカと比較すると日本の患者数は7分の1以下です。両疾患の増加は食生活の欧米化に伴って年々増加しています。炎症性腸疾患と定義される病気はまだ他にもありますが、このサイトでは、クローン病と潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)を炎症性腸疾患(えんしょうせいちょうしっかん)と定義しております。炎症性腸疾患を英語で言うとInflammatory bowel diseaseと言いその略語がIBDと言われております。この略語が短くて判りやすいので、IBDという名称が医療関係者だけでなく患者様の間でも普及した用語となっております。

参考までに患者会の名称にも多く使われており、患者数の多い病院ではIBD外来を標榜しているところもあります。いずれも未だ原因不明で、治療法が確立されておらず厚生労働省の特定医療疾患に指定されています。現在解明されている原因として腸管の免疫異常が深く関わるのでは無いかと言われています。本来人間が食事を食べる時に体内に入った食物を「異物」として認識していません。しかし破綻した免疫システム(白血球やマクロファージやサイトカインなど)は「食物を異物抗原」として攻撃するため腸管や消化管が傷害されます。薬剤による治療法はその場しのぎの対処療法であって完治までは至らず、緩解(かんかい)(調子が良くなる状態)と再発を繰り返します。緩解と再発を繰り返すことにより、傷ついた粘膜が良くなる仮定でひきつれをおこし、再発を起こして粘膜が浮腫(むくんで)また粘膜が修復されてひきつれを起こしていくと瘢痕化狭窄(はんこんかきょうさく)をおこし、更には狭窄部位が肥厚(ひこう)していきます。狭窄が酷くなると食物の通過障害を起こしいわゆるイレウスの状態になります。最終的には閉塞してしまい、そうなると手術適応になります。炎症が起こっていると腸管内や血液中は免疫システムが活性化された状態になっています。こういった本来は、体内に入っていく細菌を攻撃し、自己防衛の役割を果たす免疫系等が異常をおこし、攻撃すべき対象で無い食事等を抗原として自分を攻撃する病気を自己免疫疾患と呼びます。

クローン病は、口から肛門まで消化管全般に起こる病気で、手術をしても再発しやすいと言うやっかいな特長があります。現在のところ、消化管に負担をかけない成分栄養剤を服用するのが一番無難な治療法と言われております。

再手術により腸管が短くなっていくために如何に手術を避けるかが重要なポイントになります。発症年齢も低年齢化の傾向があり、食べ盛りの成長期の子供さんも多く、食べたいものを我慢しなければならないという患者自身の「自覚と忍耐」が必要になってきます。また子供を持つ親であれば、過剰な心配にもなり、どう子供と接すれば良いのか?こういった悩みも多くなると思います。この病気では食事療法が重要で啓蒙が必要となり、重要性を動機付けさせる側は、医師だけでなく、栄養士および看護師のしっかりした認識が必要となります。日・米では食事療法と薬物療法の考え方が大きく異なります。また医療費負担やその他公的社会保障制度も知っておかないと患者さん、ご家族にとっても負担が大きいものとなりますので、病院の社会福祉部、医療相談室などのソーシャルワーカーに話を聞くこともお勧めします。また患者さんを支える医療者側にも、極度に栄養状態が低下した入院患者さんに対してNST(栄養サポートチーム)という病院内の所属の垣根を越えて栄養状態を改善を中心とした取り組みも盛んになってきております。

- 日本 アメリカ イギリス
食事療法 和食を中心に繊維質および消化の悪いものやインスタント食品をとらなければ比較的容易である。食事指導内容が施設により格差がある。 脂っこいものが多く病気の多いのも頷けます。マクドナルドが食べれないとQ.O.L.(生活の質)が良いとは言わないらしい。 エリイミネーションダイエット(選択除去食)、低脂肪・低繊維食を中心とした食事療法の研究が進んでいる。
栄養療法 栄養剤が保険適応であり、栄養療法の普及と意味合いからしても日本が最も優れている。 鼻からチューブを挿入するという点および栄養剤の味の悪さから忍耐強く無い国民性もあり普及していない。 -
薬物療法 患者数が少ないことが阻害要因になりメーカーの参入も少なく遅れている。また治療効果の高い生物学製剤の承認には高いハードルがある。(ドラッグ・ラグ) 患者数に比例し、薬剤数や開発メーカーの参入も多く、治験も進んでいる。 -

*より良い情報を入手するのには、栄養療法は、日本の食生活に基づいた情報、薬剤はアメリカの情報(学術論文に基づいた)を選択する必要があります。海外の医療情報の選択に関して言語という壁がある以上、何が信頼できるかの基準を考えねばなりません。当ページではMEDLINE(アメリカ国立医学図書館)収載論文およびCCFA(アメリカクローン病財団)、Medscapeを参考にしております。

*1 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班  第5回市民公開講座「炎症性腸疾患の治療をめぐって」  平成21年2月8日

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