印刷ページを表示 印刷ページを表示

2008年 9月 27日 土曜日

クローン病と潰瘍性大腸炎の差

Dr.Ccrohn

クローン病の名前は報告者にちなんで名付けられる

クローン病

病気をご存じ無いから、クローン羊とかクローン技術のクローンと勘違いされますが、この病気を報告したニューヨークのマウント・サイナイ病院のブリルー・ビー・クローン(Burrill B. Crohn)先生の名前に由来しています。1932年に初めて報告されました。消化管全般に潰瘍を起こしたり、出血したり、大腸や小腸が狭窄したり様々な病態をもたらします。

 

潰瘍性大腸炎

大腸のみに起こる病気のため大腸全てを摘出すれば完治します。しかし手術に至るまでに、ステロイドを大量投与しなければならないために数多くの副作用に悩まされる病気であります。患者さんによっては白血球(顆粒球)除去療法という血液透析のような感じで、血中の白血球もしくは顆粒球を取り除いて、返血する治療(保険適用)を行えばステロイドが少なく済む場合が多い。しかしながらいずれ長期間の腹痛、頻回な下痢、炎症、出血して緩解、再燃を起こす場合が多くまたそういう状態で経過するうちに癌化する可能性も高くなってくる。従って原因部位の大腸摘出のタイミングを逃すと例え手術をしたとしても「腸以外の合併症」に悩まされる場合がある。従って正しい情報の入手と手術のタイミングを判断することは重要になってきます。

 潰瘍性大腸炎の手術適応は「社会的適応」という、一般の病気では概念の無いものです。社会生活を支障なく行うために、いつ手術に踏み切るかという判断をしなければならず多くの患者を悩ますところでもあります。手術適応は一般的には「相対適応:社会適応」と「絶対適応」があり、これらは病状と相関します。「絶対適応」では緊急を要し、選択の余地は無く手術になります。「社会的適応」は、ステロイド総投与量から判断する場合もありますし、就職を期にする方もいますし、結婚、出産を期にする人、病状により人それぞれ判断基準が当人が選択しなければいけません。一時に大腸のほぼ全てを取り除くということに対し、水分を吸収する器官であるというイメージがあることで不安感が生じます。手術は一般的に2回に分けてする分割手術が主流であり1回目の手術後に人工肛門になります。この一時的な人工肛門というのも患者さんにとって未知のものであり、精神的な不安と苦痛になり、踏ん切りが着かない方が多くいらっしゃいます。私自身も、人工肛門を受け入れるまで、相当な心の葛藤があり、なかなか受け入れられませんでした。当ページのリンク先には手術を経験された方もいらっしゃいますので、生の声として参考にされる方が良いと思います。最近では、入院期間が少し延びますが、ステロイドの影響が無ければ1回の手術で完了させる場合も多くなってきました。一回で出来るか、二回かの手術が適応になるかは、患者様の状態と執刀医の判断により異なります。
下記ストーマについて参照

 潰瘍性大腸炎は、手術で大腸を取り除けば治りますが、クローン病では例え手術をしても高率に再発を繰り返します。そういった意味でクローン病の方がかなり厳しい実情があります。

潰瘍性大腸炎での栄養療法はクローン病ほど効果はありませんが、以下の理由により栄養剤が必要な場合もあります。
1.下痢の状態が続き、腸管の亢進(過剰な動き)を押さえるという意味合い。
2.消化管に負担をかけない消化のしやすい食事(栄養)が必要な場合。
3.炎症時のエネルギー消耗を補う必要がある場合。

 病気をうまくコントロールすれば、社会生活は問題はありません。両疾患は若くから発症するケースが多く、学校生活・就労への配慮、就職のチャンス等の点で目に見えない点をどう理解していただくかが心配な点です。多くの患者さんは周りに自分の病気を告知した方が良いのか? 告知すると不利になるのか?ということが判断しがたく悩み、周りの皆様の理解に左右されてしまうという社会的に非常に難しい課題があります。見た目ではわからない内部障害という性質上、「どこまでが本人の努力不足で、どこからは病気のハンディ」として、「自分の体の自己防衛としての行動か?」を理解していただけるのか、営利企業としての民間企業に勤務する対場もありますし、私自身も仕事をしていて、判断が付かないことを多く経験をし、悩むところでもあります。残念ながら現時点での社会認識・認知では患者様が圧倒的に弱い立場であることは否定できません。

 このホームページ開設の趣旨の1つにこんな病気もあるのだと知って頂き、また友人、知人、同僚にこういった症状の方がいたらご配慮願える世の中になると幸いです。内部障害とは非常に理解しがたい病気です。具体例を挙げると、満員電車で、貧血で倒れそうになっていても、友人や会社の同僚を除き、席を替わって頂く経験がありません。がめついおばちゃんに席を替われとか、目で見て判る内部的には元気な障害者に席を替わることを要求されたことすらあります。貧血がひどいと大抵顔色が真っ青な筈です。

 血液検査の項目でヘモグロビン値というのがありますが、正常値は12~14以上ですが、我々の中で6以下の方はざらにいます。普通の人だと8位で倒れてしまうと思います。ご自身がもしそんな状態だったらどう思うでしょう。都市部、特に大阪では電車に関して言えば配慮は皆無です。ニューヨークでは結構席を譲ってもらえましたし障害者・老人には席を譲るマナー、車椅子用のパワーゲート車両など全然社会的な対応・文化/インフラが違います。

 貧血以上に切実な問題がトイレです。この病気はトイレの回数が多くなるのが特徴です。多い人で1日10回以上になります。特にトイレで待たされるのは辛いものですが、この病気がマイナーなため、多くの方が並んでいる中、順番を替えて頂くのは非常識と思われるかも知れませんが、我々には大変な問題なのです。

 また学童児のトイレの問題、給食の問題(食べられないものが多い・残すと怒られる)栄養剤をどう飲むか?など学校関係者にも啓蒙が必要であると思います。また進学においても受け入れ側の学校側がよく理解していない場合や親御さんの申し入れに対し「患者様を受け入れるのに際し施設基準が合致しない」、「どういう配慮が必要なのかマニュアルが無いから」という誤解も考えられます。

 就職に関しても、公務員採用試験でも、病名を聞いて、最終面接の段階で落ちたという話も聞いております。広く平等であるべき公務員で、病気を理由に断るというのが残念ながら現実問題としてあるのです。私たちは、難病で原因がわからないので、今すぐ自分の病気を治せません。しかし、病気があっても、十分社会の中で第一線の戦力として活躍している人は、たくさんいます。そして我々ががんばっていることが、今後、就職をしていく人への道を開くと考えております。

タグ: 人工肛門, 潰瘍性大腸炎|UC, ステロイド, , 手術

こちらもあわせてどうぞ!

  1. まだコメントはありません。
(公開されません)