クローン病患者の自己受容と支援関係の研究 
−病識との関連− 梅花女子大学文学部 人間福祉学科 石橋亜耶

調査対象者の属性でみる特徴

調査対象者の性別、年齢、発病年齢、職業、所属団体別についてまとめている。本研究の対象者はクローン病患者であること以外の規制はないので、年齢から地域まで様々である。主な5項目について以下に掲載した。

a.性別(人)
今回の調査対象の男女比は、表に示されるように男:女が7:3となり、圧倒的に男性が多い。男性患者が女性患者の約2.34倍となった。男女比は報告により異なるが、日本では男性患者が女性患者の約2倍いるといわれる。(1)


b.-1年齢(歳)

齢の調査では26〜30歳代が一番多く全体の23%を占める。次いで多かったのが31〜35歳代で、20%を占めた。就学を終え、社会に出て仕事や結婚の可能性が考えられる生産年齢人口としても非常に期待される時期である。したがって仕事や結婚に対して病気がなんらかの形で影響しているのではないかと推測
される。

b-2.発病年齢(歳)


クローン病の発祥年齢は20〜30歳代が多いとされる。調査の結果をみてみても、20〜30歳代を含む16〜30歳代に集中している。一番多かったのは10代後半で、就学をはじめ、病気による様々な問題が考えられる。栄養素の欠乏による成長障害と性成熟障害はクローン病の小児若年患者の15〜40%にみられると報告がある(2)。またステロイド剤などの薬剤による成長障害(2)、性成熟障害、精神的なストレスも
考えられる。10代後半は思春期でも
あり、自己を形成していく上での大切な時期でもある。そのような時期に病気をもち、それと向き合い、受け入れていくというのは容易ではないといえるだろう。
   
c.職業
クローン病患者の多くは就業前に、または就業中に病気を発祥するということから、仕事を含む社会生活に様々な問題を抱えるものと考えられる。調査の結果一番多かったのは会社員45%で、次いで無職・休職中12.3%、学生9.9%だった。失業率が5.5%に達するという時代のなか、体のハンディキャップをもって仕事に臨むのは、体力的にも精神的にも大変なことである。就業前に発病した患者にとって、体力的なことから仕事へ不安をもつのも無理もないだろう。また、体調の変化により就業を続ける事が困難になる場合もある。
この2点により、無職・休職中の値が上位であったのではないかと推測される。
1998年8月日本障害者雇用促進協会障害者職業総合センターの研究報告『難病等慢性疾患者の就労状態と就労支援の課題』によると、クローン病は中程度の職業的障害レベル(代償手段なしで就ける職務が多くある一方で、別の職務に就労する為には代償手段が必要となる場合があるレベル《重度以外の障害者と同じレベル》)に位置する。同報告では回答者数274人中就労(雇用)が63.1%、就労(自営・福祉雇用等)が8.8%、求職中が8.0%だった。就労していない者の非就労理由としては、適職が見つからない62.7%が最も多く、社会的理解の不十分が次いで42.9%とある。また治療・通院時間の問題について、病気の安定期であっても薬をもらう為に通院しなければならないことが負担となっているという自由記述も見られるということだった。

d.所属団体別
調査結果は兵庫県と東京都の主な患者会に集中するが、知人のホームページ上にアンケートを掲載してもらったのでインターネットによる回答が可能になり、各度数は少ないが全国から回答を頂くことが出来た。北は北海道、南は沖縄まで26団体を数えた。注目したいのは、回答者の半数以上54%がどの団体にも属さない無所属であるということだった。これらの団体のようなセルフヘルプグループは、後の支援関係にも出てくるが、会報などによる情報源であったり、コミュニケーションのある場であったり、悩み相談の窓口であったりする。この結果は私の予想外だったが、なぜそうなのかと考えたところ、患者会の存在を知らない、人付き合いが苦手である、必要性を感じない等ではないかと予測している。

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