クローン病患者の自己受容と支援関係の研究
 −病識との関連− 梅花女子大学文学部 人間福祉学科 石橋亜耶

(1) ケースワークによる事例(5)
ある男性患者が患者会の集いで知った身体障害者手帳(以下、手帳)について詳しく教えて欲しいとのことでMSWのもとをたずねた。患者は手帳の手続きがわかるとすぐにも退室してしまい、ほとんどケースワークにはならなかった。しかしその翌日その患者は再来し、そこから患者とMSWが向き合うケースワークが始まる。
患者の現状況では手帳取得は無理であることがわかり、そのショックや動揺をMSWに話すなかで、MSWは次第に患者の内面に近づくことになる。
きっかけは手帳についての相談であったが、結果的には患者自身がMSWに対して話をするうちに自分の不安に自ら気付き、これまでの過程と今の状況を受け入れ、その上で今後の治療やセルフケアに取組もうという希望に自分で気付くことになる。
MSWのサポートをきっかけとして患者は自分自身を見つめ直し、病気を持った自分自身を冷静に受け入れることによって患者本人のこれからの課題――現状況の改善――を考える可能性を見出しているといえるのではないだろうか。
この事例のプロセスをMSWは「自分の病気および病気がきっかけとなって起こることに責任が持て、自分で自分を取り締まることができるという『自律』の上に自分の意思や力で独り立ちするという『自立』が成立するというものであったといえる」と表現している。

(2) 小考察
MSWが「自立」と表現するそのプロセスは、病気とその病気をもつ自分を受容すること――自己受容と深い関係があると考えている。自己を知るということは自分で自分の本当の姿に気付くことである。事例のようにきっかけは何になるかわからないが、そのきっかけによって自分の知らなかった、または抑えていた本心がでることによって気持ちは整理される。そのことによって事例の患者は病気に対して真剣に考えるようになった。自己受容・統計データの質問項目はクローン病と直接関係はないが、それは病気と付き合っていく上での必要な過程を作り出す一要素と考えて良いのではないだろうか。データ上、発病前と後で差がみられるものもあった。病気との付合いに自己受容が必要であると事例からみて思われるが、病気自体が自己受容に影響していることも考えられる。この後の分析によって深く掘り下げてみたいと思う。
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