「クローン病と潰瘍性大腸炎における食事と栄養について」
社会保険中央総合病院 管理栄養士 斉藤恵子先生

 

セレン(Se)とは

 セレン(Se)はグルタチオンペルオキシターゼの構成成分であり、ビタミンEとともに組織における酸化防止の役割をしているといわれています。
 日本ではまだ1日の必要所要量は明らかにされていませんが、アメリカでは、米国人のセレン所要量(RDA)を成人男性70μg/日、成人女性55μg/日(体重1kg当たり0.87μg/日)と報告されています。日本人は一日平均100〜200μgのセレンを摂取していると報告されており、通常の食事をしている場合には不足することはないと考えられています。

 クローン病においては、慢性の栄養障害や吸収不良、また長期にわたるセレン含有量の少ない栄養剤(エレンタール)の摂取などが原因で、セレン欠乏症が起きているのではないかと言われています。セレン欠乏症の主な症状としては、不整脈等の心筋症、筋肉痛、筋力低下等が報告されています。
 食品中のセレン含有量は、土壌中のセレン含有量によって異なります。一般に魚介類に多く、次いで肉類、乳類で、野菜や果実にはあまり含まれていません。魚介類には炎症を抑える作用があるといわれているEPAやDHAも多く含み、またセレン含有量も多いので、クローン病の患者さんには適した食品といえます。

 食事制限中の患者さんは、するめいかをガムのように噛んでエキス分だけをとるとか、また煮干しを粉末にして味噌汁に入れたり、干しえびを粉末にしてふりかけを作ったりと工夫してみましょう。


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