潰瘍性大腸炎治療の内科治療について、フロー概略図を参考に、その治療が有効か無効かにより、治療ステージが移行するので、移行先の治療内容を参考にしてほしい。
1. 軽症
- 直腸炎型
経口薬はペンタサまたはサラゾピリン、坐薬はリンデロン坐薬またはサラゾピリン坐薬、注腸剤としてはペンタサ注腸またはプレドネマ注腸、ステロネマがある。経口薬と局所製剤を併用してもよい。 - 左側大腸炎型・全大腸炎型
ペンタサまたはサラゾピリンの経口薬が選択されるがペンタサ注腸またはステロイド注腸を併用することが望ましい。
2. 中等症
- 軽症の治療に加えてプレドニゾロン1日30~40mgの経口の服用を初期から行ってもよい。また、軽症に準じた治療で2週間以内に明らかな効果がない場合や途中で増悪する場合もプレドニゾロンの経口薬を併用する。
- プレドニゾロンの減量に伴って増悪または再燃が起こり離脱困難なステロイド依存例は、5.難治例の1の治療を行う。
- プレドニゾロンの経口投与を行っても、1~2週間以内に明らかな効果が認められない時は、4.劇症の1または5.難治例の2の治療を行う。
3. 重症 [入院]
- 当初よりプレドニゾロン1日40~80mgの経口投与あるいは点滴静注、さらにペンタサまたはサラゾピリンの経口薬、及び注腸剤を併用する。
発熱や白血球増多が著明な期間は、抗生物質を短期間併用する。 - ステロイド抵抗例は、4.劇症の1あるいは5.難治例の2のいずれかの治療法を行う。
4. 劇症型 [入院]
- 絶食の上、完全経静脈栄養(TPN)
a) 強力静注療法*
b) プレドニゾロン動注療法* - 以上の治療で有効な場合、3.重症1の治療に移行する。
- 4.1の治療を行っても症状が悪化する場合、あるいは早期に症状の明らかな改善が得られない場合は血球成分除去療法*、シクロスポリン持続静注療法*を試みてもよいが、無効例は、緊急手術となる。
*強力静注療法 [入院]
プレドニゾロン40~80mgの静注および抗生物質の服用。 絶食の上、完全経静脈栄養(TPN)、電解質のバランス、輸血などを症状にあわせて行う。*プレドニゾロン動注療法 [入院]
血管造影を行い、動脈を確認しながら、上・下腸間膜動脈内に、プレドニゾロンを動脈に注入する。有効例では通常3日以内に効果が現れる。
5. 難治例
-
ステロイド依存例
プレドニゾロンの減量に伴って増悪または再燃が起こり離脱困難な場合は、イムランまたはロイケリンを併用する。これらの効果は少なくとも1~3ヵ月かかる。これが有効で副作用がない時は、上記免疫抑制剤を開始して1~2ヶ月後に経口プレドニゾロンを徐々に減量、中止する。緩解導入後は1.軽症の1に従った維持療法を行うが、副作用に注意しながらイムランまたはロイケリンは2年間を目安として併用する。
-
ステロイド抵抗例 [入院]
ステロイドの適正な治療にもかかわらず、1~2週間以内に明らかな改善が得られない場合で、重症度が中等症では血球成分除去療法を、重症ではシクロスポリン持続静注療法*を行ってもよい。また、プログラフの経口*も有効であるが、劇症に近い症例ではシクロスポリンを選択する。イムランまたはロイケリンの併用し、期間は2年間を目安とする。

潰瘍性大腸炎の治療方針をチャートにする|炎症性腸疾患の耳袋
*血球成分除去療法
アダカラム(GCAP)を用いる顆粒球除去療法とセルソーバ(LCAP)を用いる白血球除去療法がある。治療の第1週目には中等症では週1回、重症・劇症では週に2回行い、第2~5週には週1回とし、これを1クールとする。2クールまで保険適用である。
*シクロスポリン持続静注治療法 [保険適応外] [入院]
シクロスポリンの持続静注を7~14日間行い、有効であればシクロスポリンの経口薬に変更する。*プログラフ
プログラフ(カプセル)を用いる際は当初は高用量で行いその後は低用量に減量する。
6. 中毒性巨大結腸症 [入院]
重篤な症状を伴って、結腸、特に横行結腸の異常な拡張を起こした場合は、直ちに緊急手術を行うか、外科を受診し、短期間は劇症型の強力な治療を行い、改善しない場合は緊急手術を行う。
潰瘍性大腸炎について、評価は出ていないが、TNF-a製剤(ヒュミラ、ゴリムマブ)の治験も現在行われており、レミケードが保険適用の申請に向けて動いている。
出典: 潰瘍性大腸炎外科治療指針改訂案(平成20年度). 潰瘍性大腸炎・クローン病 治療指針平成20年度改訂案より改編
厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服対策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班(渡辺班)」 平成20年度研究報告書 別冊, 2009年, p3-5より改編
炎症性腸疾患の最近の治療と展望 松本誉之 日本医事新報 No.4458 2009年10月3日 48-53 より改編
タグ: 活動期, 薬物療法, 寛解期, 診療ガイドライン, 顆粒球除去療法

